2014年3月14日金曜日

三百十三章 外の風、中の土

先日のあいテレビの夕方のニュース、
「松山市在住のイギリス人から見た第二のふるさと」
という切り口で見応えのある特集をやっていました。
彼の名前は、ロッドさん。
イギリス出身、愛媛を愛する46才。
妻の故郷松山に移り住み12年。
「海外には瀬戸内海のような海はない。
海の向こうに山が見えるのにロマンを感じる」といいます。
以前イタリアからきた友人も、初めて見る瀬戸内海に感動していました。
北条駅前のカレー店が彼のお気に入り。
「すっごく美味しい。うれしい感じがする」と。
ところで、ロッドさんの職業は?
これはロッドさんが撮った写真。
松山市にある人間が作った物がどれだけきれいかを再認識して欲しいと言います。
彼の職業はカメラマンかと思いきや、実は翻訳家さん。
観光にまつわる翻訳を多く手掛けてきました。
その中で、史跡を紹介する観光案内などの翻訳の際、
いつもジレンマを感じていたといいます。
「外国人は歴史の背景はまず知らないので、
16世紀に伊達家がどうたらこうたらとか始まると面白くないですね。
外国人向けにアレンジした方が効果的で魅力的」と。
外国人目線の情報発信が必要。

そこに目をつけたのが松山市。
ロッドさんを市の外国人観光客誘致のプロデューサーに任命し、
ロッドさんの知恵を借り、観光地の英語案内を見直すことに。
従来の英語パンフレットの見直しについては協議が始まっています。
松山市の英訳パンフレットの改善点は?
「どんな人が欲しがるか、ユーザーを特定できないですね。
ほとんどの外国人は聖徳太子のことを知らないのに
聖徳太子がどうのこうのと書いてるのは意味がないです」
「歴史ではなく、体験できることを紹介した方が効果的だと思います」
「松山市の英訳パンフレットはデザイン的にも、
キャッチコピーにもまだまだ改善点があります」

松山市の最もダメな英訳パンフレットは?
「キャッチコピーにミスがあるものもある。
「ローマ人が、甘い心と夢を運んでくる」
という意味の分からない和訳を表紙に書いてるものがある。
外国人からすれば、わけがわからないですね」
年間3万2千人近くの外国人観光客が訪れる観光都市松山で、
過去10年間これが配られていました。
今回見直せて良かったですね。ドンマイ!

ロッドさんが今注目している観光資源が「伊予水軍」。
ロッドさんは水軍を率いた河野氏由来の神社を熱心に撮影。
こうした水軍の情報は、世界ではほとんど知られていないといい、
ロッドさんは、魅力的な観光資源だと考えています。
僕等が北欧のバイキングに興味を持つのと同じでしょうか?
「今の観光は、大きな所を見るだけでなく
小さな所を自分なりに調べて行ったり、
いろんな珍しい事を経験することが
トレンディーになってきているので、
こういうよろいを着て、昔の戦いを再現することができるようになったら、
外国人観光客は絶対に来ると思います」と言う。

当たり前の日常の切り取り方次第で、違った魅力に気づく。
愛媛最強の応援団としてロッドさんは期待されています。

外からの目、中からの目、両方のことがわかっている人の意見は大切です。
中だけの意見では不完全だと早く気づかなければなりません。
外から人を呼ぼうとするのであれば。

外の風と中の土が合わさって、はじめて風土が完成します。